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日の本にて…  ハロー、シカゴ



日の本へ… その248「旅立ち」


 あの時のときめきを確かに思い出せるけど
 もう二度と感じることはできない
 君は少年
 胸の中は新しい夢が広がる
 初めて知る戸惑いさえ恐れず
 君は素敵
          「君はすてき」より 

  日の本へ… その248「旅立ち」

 ことんと眠りに落ちてしまう昼寝のときと違って、我が息子は夜寝るときは必ず母の添い寝を求める我が息子が、珍しく、僕のそばから離れないまま眠った。流石に何かいつもと違う気配を感じたか?賢いな、我が息子よ。
 彼のここ数日の成長は目まぐるしく、2歳になる前後から、一日数単語、数フレーズずつ話せる言葉を増やしている。行動力も行動範囲も著しく増大し、それにいちいち付き合うのもものすごく大変である。100が言えたり、数を逆唱したりするところまでは予想範囲内だったが、国旗を見て国名を言えるようにまでなっているとは、正直驚いた。母親は偉い。彼の毎日はきらきら輝いているのだろう。
 かなり羨ましい。毎日が冒険だった少年の日々、毎日が何かにぶつかっていきたかった青春の日々、ああした日々を今から経験できる息子を僕は心底、羨ましいと思ってしまう。あの頃の僕はどんなことを考えていたのだろう。思い出すことはできても、同じ気持ちになれるかどうかって難しい。そういえば、幼児から小学生の頃、目を開けていても自分がどこにいるか分からない、目の前の風景や時間がグニャグニャに溶けていくような感覚をよく持ったものだが、そんな感覚・不安は全くない。心と身体の成長バランスが不一致なときに感じるものだったのか?と思ったりもする。
 中学時代で言えば中2、高校で言えば高1のクラスが一番楽しいクラスだった。最も楽しいと覚えているようなクラスだったから体育祭やクラスマッチに強かったわけで、クラスマッチに強かったから覚えているわけではない、ということに最近気づいた。団結力が違うのだ。教師をしている友人が言っていたが、どんな奴がクラスのリーダー格になるかで全く違ってくるらしい。リーダーの頭が悪いとクラスは頭悪いし、性格悪いと最悪、特にずる賢いのは手に負えないのだそうだ。
 文化祭前夜がずっと続けばいい、こんなことを思ったことはないだろうか。前日が一番楽しい。始まれば必ず終わる。始まる寸前が一番楽しいのだ。終わる切なさを楽しめるのはもうちょっと大人になってからかな?ちなみにそんな思いを映画にしたのが、アニメ史上屈指の名作といわれる『うる星やつら2 ~ビューティフル・ドリーマー』である。終わらない文化祭前日。これは誰かの夢?「龍宮城から帰った浦島太郎は村の変わりように驚きました。しかし、龍宮城に行ったのが太郎だけでなく、村人全員だったらどうなっていたんですかね?」。


 本日、僕は日本を旅立つ。
 数ヶ月はアメリカで一人暮らし。息子ほどの柔軟性も、妻ほどの強さもなく、どうしようもない不安に耐えているのが今の正直な気持ちである。けど待てよ、この不安感って初めての転校前日の感覚に似てないか?あの頃の感覚を取り戻せるなら、不安なのも悪くないのではないかい。羨ましがっている場合ではないな。
 息子よ、父はまだまだ現役である。

 僕はもう追いかけはしない
 君の走る影の後
 人は誰も走りつづける
 ゴールはまだ見えない
 今日の先に何がある
 明日の先に何がある
 遥か彼方の光に向けて僕は今も走りつづける
             「ランナー」より

                2007年6月18日
                    柴 英斗
by shibaei | 2007-06-20 05:15 | 海外
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シカゴ生活を経て、子育てやアニメ・特撮、海外赴任経験を語ります。

by shibaei
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